映画「屍人荘の殺人」感想 中村倫也さんが流石だった※ネタバレあり（読了目安:5分）
今回は現在公開中の映画
「屍人荘の殺人」についての感想。
ちなみにネタバレ厳禁！
と予告で言われているが、
ネタバレなしでは語れない映画でもあるので以下ネタバレ
ちなみに評価としては
面白さ（個人的主観） ：★★★☆☆
オススメ度 ：★★★★☆
映画館で見なくちゃいけない度：★★☆☆☆
総合点：3.0（5点満点）
あらすじ
屍人荘の殺人（しじんそうのさつじん）の紹介：
2019年日本映画。
「このミステリーがすごい！2018年版」など
国内の主要ミステリー小説ランキング4冠を達成した、
今村昌弘の大ヒット小説
「屍人荘の殺人」を実写映画化。
ロックフェス研究会の
合宿に参加した部員たちが、
宿泊先のペンション“紫湛荘”で
謎の連続殺人事件に巻き込まれる。
事件の謎を解き明かし、
生き残りのために奮闘するさまを描いた、
新感覚ミステリーエンターテインメント。
原作ありのこの映画だが、
自分は原作小説は未読、
コミカライズは途中まで読んでいた程度の知識はあるので、
中村倫也が途中退場するのは見る前から知っていました。
映画を見終わって帰宅後、
改めてコミカライズ版を現在更新されてる回
（一人目の被害者が出たあたり）
まで読みなおした上で至った感想は
この映画、
中村倫也の
関係性の映画だわ
そして割って入ろうとするワトソン推しの浜辺美波。
というのが最終的に至った感想でした。
ゾンビ、ミステリー、コメディ全て繋がらなかったものが
これを踏まえるとなんというか納得できた気がします。
落ち着いたら原作読みたい。
めちゃくちゃな原作改変
まあぶっちゃけ原作小説読んでないので詳しくはアレだが、
どうやら漫画版の方はある程度原作に忠実らしいので
そちらをベースにして語ります。
この作品、映画になるにあたって
設定の変更がかなり著しいようです。
女子大生がおばちゃんになってたり、
関西弁おじさんが出てきたり、
スマホを落としただけ女が出てきたり。
ミステリ部分で大事な館の設定だとかも変更。
ただ、やっぱり改変の中で
一番影響が大きかったし、
描きたかったのは
明智と葉村だったんじゃないか
と思ってます。
自分は漫画版を前述の通り途中までしか読んでないのですが、
映画の中でキーとなった
明智が犯人が誰かなのか気づいたあのシーン
あれも漫画版になかったシーン。
あと映画の中だと
ボンクラ探偵っぷりを見せつける明智ですが、
漫画版序盤では小さい事件ながらも
ちゃんと推理して事件を解決していたりだとか、
剣崎の事も映画版の「調べさせた」じゃなくて
漫画版では「警察から聞いたことことがある」となっていました。
ちゃんと真面目に探偵やってる！
同じ学校の剣崎に会おうとしなかった理由漫画版だと
「彼女はすでに警察からも一目置かれているような
実績をあげている本物の探偵だ。
一方 私は学内のお悩み解決レベル・・・
肩を並べるには早い」
と映画版では不相応にライバル視して、
葉村にツッコまれていた明智のキャラ造形とは異なります。
では、この変更が作品にどのような影響を与えたのか。
ちなみに原作者は映画の公式サイトにて
中村倫也さんに演じていただいた明智は、本当に強烈でした。
原作でも書き進めていくうちに思わぬ方向で
いい変化を遂げたキャラクターだったんですが、
それがますます魅力を増していて、素晴らしかったです。
中村倫也の出番あんまりないけど、
あれは中村倫也じゃないとダメだった。
中村倫也で正解。
明智と葉村の関係
これから下の分を書いてる途中で
いろいろ熱くなってしまったので、
知ったかなのになぜか強火の明智葉村オタク
になっている可能性があるのを
踏まえてここからは読んでもらいたいです。
なので実際見た人からすると
「え？そんな映画だったけ？」と思うかも。
コミカライズ版での序盤の葉村と明智のやり取り、
そして、明智の死に際に出てくる回想。
この二人めちゃくちゃ仲いいんですよね。
心霊番組を二人で一緒に見てるような発言、
目の前の剣崎を無視して二人で話し出すところとか。
コミカライズ版ではミステリー大好き人間で、
妹から「友達できた？」と心配されるような羽村。
大学のミステリー研究会が浅い知識しかない人の集まりで、
嫌になったところを
同じような理由で抜けた明智と出会い意気投合して
ミステリー愛好会として活動するんですが、
そこのクリームソーダの下りはめっちゃエモい。
そんな二人はホームズとワトソンという関係で、
言い方を悪くすれば探偵ごっこをすることで
青春を謳歌してたんですよね。
映画版でもそういったシーンは随所にあって
葉村が明智の死を頑なに信じない所とか。
葉村は剣崎の事をすごい好いてるみたいなシーンが
何度も挟まれましたが、
それでも剣崎よりも明智を選ぶ。
普通あんなに可愛い女の子から迫られたら
女の子を選んじゃうじゃないですか。
かけがえのない相棒なんですよね。
翔太朗とフィリップだわこれ（見てる人に伝わるのだろうか）
彼らにとっての日常はミステリーだった
見終わった後にいろいろ考えてみると
原作（漫画版含めて）は完走してないので
なんとも言えませんが、
この映画に限って言えば
ミステリー作品というよりかは
日常破壊系ゾンビ映画だった
のかなとも思います。
知ってる作品群で一番近いのは「がっこうぐらし！」
（ジャンル詐欺的な所ももそうだし）
ゾンビが出てこなければ
普通にペンションで事件が起きて、
普通に探偵である剣崎（と明智）が
事件を解決して大団円。
ところがゾンビが出てきたものだから、
推理中も下手したら死ぬし、
突然バリケードが破られて数分後には皆死ぬかもしれない。
現在途中まで読み進めているコミカライズ版だと
防犯ブザーをアラーム替わりにしたり、
最初から2階以上に逃げてたりと
割と万全の体制でゾンビに対応しているものの、
（あくまでクローズドサークルの環境としての利用）
今回の映画だと度々挟まれるバリケード崩壊で
いつバリケードが破られるのかといった緊張感が常にあり、
推理中も安心できない状態で話が進んでいった。
（もしかしたら原作にもあるかもしれんけど）
そんな常に死と隣合わせの
緊張感が漂ってるペンション内で、
探偵ごっこをやっていた剣崎と葉村。
そして、ゾンビに追われる最中でも
事件の話をしようとしていた明智。
普通の人にとっては事件に関わるのは非日常。
だが彼らにとっては事件に関わるのはある意味では日常的である。
探偵に憧れていた明智に至っては本望とすら
思っていたのかもしれない。
彼らだけ非日常の中で日常を過ごしていたのでは？
よくよく考えたらあれだけ濃いメンツが居つつも、
非日常の中でコメディやってたのはあの三人だけ。
（他の人もたまに巻き込まれたりしてたけど）
「それ挟む必要ある・・・？」と
いろいろ言われてるコメディシーンも
商業上の戦略だとか、
空気を軽くして見やすくするだとか、
映画上の見栄えだとかそういうものの他にも
ゾンビパートと日常パートの差を際立たせるのに
有効だったのかな～と
ラストシーンについて
最終的にペンション内の事件は解決、
犯人が死んでしまうという後味悪くも
ミステリではよくある展開で事件は終わった。
だが、死んでしまった明智はもう帰ってこない。
最後まで死んだことを信じてなかった羽村だが、
明智ゾンビに襲われるという形で見せられてしまった。
最後まで「生きてて欲しい」と願った人も多いと思う。
（あの場所に居るのさすがに不自然すぎではと思ったが）
原作既読組の感想を見るに
明智ゾンビが出てくる場面がちょっと違うらしいが、
全てが終わった後に出てきたのは
「今までの日常は戻らない」
この事実を容赦なく突きつけてきた気がする。
「ゾンビ」という不条理で終わりを迎えてしまった
ホームズとワトソンの二人の青春。
そこに割って入ろうとするワトソン推しの浜辺美波。
ホームズを失ったワトソンはこれからどう過ごすのだろうか。
いや、浜辺美波はめちゃくちゃ可愛かったんですけどね
とここまで感情のまま書き続けたら
今までの感想だとかライフハック系の文章の
数倍の長さになっているのにビックリ。
記事を書くための時間も
映画の時間より長いからビックリ
思ったより自分この映画気に入ってるのでは・・・？
なんか最初の方で5点中3点とかつけてるけど
実際はもっといい点数あげてもいいのでは？
とも思うけど、個人的に気に入ってるだけであって、
誉められた映画ではないよなーとは思うので・・・
（コメディがキッツイってのも割と分かる）
見た人が居たら感想知りたいので
コメント貰えると嬉しいです。
